Thermal load, Energy-conserving Simulation熱負荷・省エネルギーシミュレーション

ガラスの違いによる室温変動
及び休み明けの空調負荷

ガラスの遮熱・断熱性能の違いは、非空調時の室温や空調立ち上がり時の空調負荷においても違いとして現れます。ここでは、事務所ビルの東側ペリメータで金曜~休日(土・日曜)~月曜の(非空調時をはさんだ)室温推移と空調負荷をシミュレーションにより検討した例を紹介します。

■検討条件
解析対象室の平面図を右図に示します。
東側ペリメータの 1スパン分を取り出し、
ガラス種類別相対比較のための年間 熱負荷計算を行っています。

  • ○方位
    東面
  • ○ガラス品種
    単板ガラス:
    FL6 (日射熱取得率0.85 、熱貫流率5.9W/m²K)
    Low-E複層ガラス:
    LQ6+A12+FL6 (日射熱取得率0.40 、熱貫流率1.6W/m²K)
  • 単板ガラス・Low-E複層ガラスともに、ブラインドなし
  • ○開口部寸法
    幅2,860mm×高さ2,338mm
    1スパン幅3,000mm×奥行き5,000mmのペリメータ領域における熱負荷を検討した。
  • ○内部発熱
    無し
  • ○換気量
    3.5m³/m²・h

■夏期

金曜の夕方に空調が停止すると、一旦室温が上昇し、徐々に低下していきますが、断熱性能が良いLow-E複層ガラスのほうが単板ガラスより温度上昇が抑えられています。
休日(土・日曜)の午前中は、開口部が東面を向いているため日射により室温が上昇し、午後になると低下する推移となります。単板ガラスのほうがLow-E複層ガラスより日射熱取得率が大きいため、日射により高い温度推移となります。
休み明けの月曜は、空調が稼働する直前においてLow-E複層ガラスは単板ガラスより1℃程度室温が低く、空調立ち上がり時の熱負荷も単板ガラスより26%低減されています。

■冬期

金曜の夕方に空調が停止してから室温が低下していきますが、断熱性能が良いLow-E複層ガラスのほうが室温低下は緩やかとなります。
休日(土・日曜)の午前中は、単板ガラスのほうが日射を透過しやすいためLow-E複層ガラスより室温が高くなる時間帯が見られますが、午後になると室温は逆転しLow-E複層ガラスのほうが温度低下は緩やかです。
休み明けの月曜は、空調が稼働する直前においてLow-E複層ガラスは単板ガラスより2℃程度室温が高く、空調立ち上がり時の熱負荷も単板ガラスより24%低減されています。なお、夏期(26%)と比べて低減率が若干小さいのは、Low-E複層ガラスより単板ガラスは日射熱取得率が大きいため、暖房負荷の低減に若干寄与したことが推察されます。

空調負荷、特に暖房負荷のピークは空調立ち上がり時に生じる事が多いため、Low-E複層ガラスを用いる事で空調負荷だけでなく空調設備の機器容量を低減できる可能性があります。