- 事務所ビルモデル
- シミュレーション条件
- シミュレーションモデル
- シミュレーション結果
OA機器が多い事務所空間では、外気温度が低い中間期においても冷房が必要な温度になることが多く、省エネの妨げになっています。効果的に自然換気を行うことで冷房使用量が削減されることにより、省エネ効果が期待できます。 ここでは、吹き抜け空間がある事務所ビルにおける自然換気の検討例を紹介します。
事務所ビルモデル
シミュレーション条件
- ■外界条件
日射条件:11月1日14時
外気温度:16.8℃(11月1日14時の東京標準気象データ参照)
外気風速:0m/s - ■ガラス面条件
南北ガラス面:LU6(LQ6相当)+A12+FL6
透過率:35.5%
吸収率:36.4%
日射熱取得率:0.41
熱貫流率:1.7W/(m²・K) - ■発熱条件
- ■換気条件
換気量の算出を行うため、各階居室空間を4つのゾーンに分割します。
- ・東側、西側居室
南北ガラス面上部に換気用窓があり、外気と接続しています。通路空間とは間仕切り壁で仕切られており、間仕切り壁上部に通気用の開口を設け、通路との通気が行われます。 - ・通路空間
東側、西側居室、吹き抜け空間と接続されています。吹き抜け空間との接続は、各階床面(1階は除く)から1mの高さまでガラス手すりがあり、ガラス手すり上面から天井面までが接続されており通気が行われます。この接続空間は鉛直方向に2分割し、吹き抜け空間との交換換気が計算可能です。 - ・吹き抜け空間
上下階の空間接続を担っており、各階の通路空間と接続し、各階との通気が行われます。
- ・東側、西側居室
シミュレーションモデル
※吹き抜け空間最上部には、東西南北すべての面に排気用の開口を設けています。
シミュレーション結果
- ■日射計算結果
中間期11月1日14時の日射は太陽高度が低く、鉛直窓面に対しては日射が透過して吹き抜け空間の手摺部や東西居室空間に照射されている様子が分かります。 - ■室内温度計算結果
中間期11月1日14時の建物モデルを東西縦断面で見たときの室温分布の様子です。
自然換気を行っており、1階~3階は室温も23℃以下が大半ですが、4階では通路部分が25℃以上になり、5階、6階では廊下部のみでなく、東西居室部も26℃以上となっていることが分かります。 - ■換気計算結果
換気計算の結果は、ゾーン毎の流出入量、空間平均温度を表示しています。
1階~4階にかけての東西の居室では外気が流入しており、5階、6階では流出になっています。通路空間では1階~3階にかけては吹き抜け空間へ流出しており、4階~6階にかけては交換換気が生じています。
吹き抜け空間は上昇気流となっており、吹き抜け空間上部で排気されています。
1階~4階居室から流入した外気が吹き抜け空間最上部の排気口から排気されている様子が分かります。