東京都の港区では、ビル風対策に特化した制度としては日本初となる「港区ビル風対策要綱」(24港環環第5073号)が平成25年7月1日に施行されました。この港区ビル風対策要綱は、高層建築物周辺で発生するビル風を防風植栽等によりできる限り抑制し、生活環境を保全するために制定されました。制度の特徴および詳細は次のとおりです。
- (1)防風植栽の計画、施工および建物竣工後、最長3年までの多段階の手続きを設けました。
- (2)対象事業を延べ面積5万平方メートル以上の新築建築物とし、都環境アセスメント対象案件も含めました。
- (3)事業者の選任する防風植栽管理技術者が、専門家の視点で防風植栽の管理について助言します。
- (4)事業者から管理組合等への所有権引継ぎ時に、防風植栽の維持管理に係る事項を十分説明する手続きを設けました。
<港区公式ホームページ 広報みなと2015年7月1日号 環境特集号 港区ビル風対策要綱より一部抜粋>
- ①対象事業
港区環境アセスメントの対象である延べ床面積5万㎡以上の建物、全てが対象。これにより、東京都環境影響評価条例対象案件である延べ床10万㎡以上の建物も指導対象となり、大規模開発案件にも地域の実情に応じた指導をします。 - ②専門家の関与
事業者には、造園施工管理技士、造園技能士又は樹木医の資格を有する者を防風植栽管理技術者に選任していただき、防風植栽の生育について技術的支援を受けながら維持管理を行っていただきます。 - ③防風対策の引継ぎ
建物竣工後の譲渡時に、建物の所有者への防風対策引継ぎ手続きを設けることで、譲渡後の防風対策の実施者と内容を明確化します。 - ④竣工3年後の報告書の提出
風環境の予測は、建物計画から竣工後まで多段階の報告義務を設け、風環境対策について区の関与を強化します。防風植栽の生育状況や防風機能について、建物竣工後、最長で3年間、区が防風対策に関与していきます。防風植栽の生育管理の詳細について、計画、施工、植栽の定着まで報告を求める制度としては、日本初です。 - ⑤事業費
事業者からの届出制度のため、区の事業費を要しません。
<港区ホームページ 【資料5】日本初の港区ビル風対策要綱 防風植栽の生育を目指すより抜粋>