Archived Materials資料室

特殊な支持・工法によるガラスの強度検討

近年、斬新なデザインの建物が増えており、それにともないガラスの使い方も多様化しています。今までにない複雑な支持方法による施工例も増えています。DPG工法やMPG工法をはじめとする特殊な支持方法のガラスは、コンピューターシミュレーションにより安全性を検証して施工されています。
安全・安心を確保するため、強度・応力シミュレーションが皆様のお役に立てることを確信しています。

解析の概要

告示や簡易な計算方法では求められない、特殊な支持方法や荷重条件での強度検討が可能です。有限要素法解析(以下、FEM解析)により、風圧や人体荷重が作用したときの発生応力と変位を詳細に求めることができますので、コストパフォーマンスのよい板厚を決定することが可能です。また、熱伝導解析や熱応力解析も受託していますので、特殊な条件の熱割れ検討も対応可能です。

解析システム

解析コード:有限要素法汎用解析プログラム MSC.Marc
プリポスト:MSC.MENTAT

結果の評価

特殊な支持の場合、FEM解析によりガラスに発生する応力を求め、許容応力以下になるように板厚を決定します。ただし、変位が大きい場合は、板厚をアップして不安感がないようにします。FEM解析では、ガラス全体の応力分布と変位分布が出力されますので、結果の確認が明快です。

その他の特徴

毎年、大小100件以上の解析実績と蓄積したノウハウにより、適切な解析とコンサルティングをご提供いたします。また、個別のご依頼だけでなく、業務委託契約の締結により、御社の解析専門部署としてご利用いただくことも可能です。

ご依頼に必要な資料

モデル化のため、形状のわかる図面が必要です。手書きのスケッチでもかまいません。

  • ・サッシ図面などガラス形状の全体像がわかる図面、納まりの詳細図面など
  • ・荷重条件(条件が不明な場合はご相談に応じます)

受託費用

通常受託費用:25万(簡易)~ ※消費税含まず
費用は、ご依頼内容の難易度やケース数によって変わります。また、報告書の体裁によっても大きく変わります。結果がわかる程度の簡易な体裁でよければ、安価にすることも可能です。なお、価格表をご希望されるお客様が多いですが、ご依頼ごとに検討内容がさまざまなため、価格表としてのご提示は難しいです。都度、お見積もりさせていただいております。

解析受託例

ガラス手すりの風圧強度解析

以前は、ガラス手すりといえば、下辺だけを特殊充填材で固定した、いわゆるSS工法が普通でした。現在は、施工方法が多様化しており、跳出し、孔開け、部分支持など様々です。検討する荷重形態も、風圧だけでなく、集中荷重や線荷重などがあり、手計算レベルでは検討できないケースが多くなっています。
FEM解析であれば、複雑な支持条件や荷重条件も検討することができるので、最適な板厚でより安全性の高い施工をすることが可能です。


図1 最大主応力分布図

DPGガラスの風圧強度解析

今では一般的になったDPG(Dot・Point・Glazing)施工ですが、孔位置や跳出しが極端な場合は、FEM解析で応力と変位を検証する必要があります。
DPGは支持金物が変位に追従するようになっていますので、孔周りの応力集中は小さくなるように工夫されています。ただし、その他の部位の応力は、大きい応力が発生しますので、FEM解析により板厚構成を選定する必要があります。


図2 最大主応力分布図

サッシ枠を考慮したガラスの強度解析

四辺支持ガラスの風圧強度は、告示で規定されていますが、サッシ枠は十分剛性がありたわみが小さいことが前提になっています。しかし、サッシ枠の剛性が小さい場合、ガラスにねじれを起こし、発生応力がその分大きくなることが知られています。このような支持条件でもサッシ枠全体をモデル化してFEM解析することで、ガラスに発生する応力と変位を正確に検証することが可能です。


図3 変位分布図

グラサードの層間変位解析

グラサード(ガラススクリーン工法)が、地震時に層間変形を受けると、フェイスガラスは、セッティングブロックを中心とした回転方向の変位、いわゆるロッキングを起こします。
それにともない、図5に示すように、リブガラスは、フェイスガラス間とのシール、および、上下枠との取り合いのシールで引張られ、S字状に変形しようとします。層間変位量によっては、リブガラスに大きな応力が発生して、破損することが考えられます。


図4 変位分布図

このような、層間変形によるFEM解析をおこなうことで、リブガラスのを強度を検証することができます。問題がある場合は、リブガラスの上下枠を二重枠にした耐震グラサードやシールの剛性を変えた新耐震グラサードに変更するための有益な検証資料とすることができます。もちろん、耐震性を向上させた場合の解析もできますので、どの程度応力が低減されたか定量的に判断することが可能です。


図5 リブガラス応力分布図