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最適化手法を用いた
太陽光発電パネルの設置条件探索

太陽光発電パネルの設置にともない、周辺に照射される反射光が原因となり、まぶしさなどの問題が生じる場合があります。通常は発電効率のみを優先してパネルの傾斜角や配置などの条件を検討しますが、今回は周辺建物への反射光照射が見られなくなる設置条件の検討を行いました。

「傾斜した反射面(建物屋上に設置した太陽光発電パネル)からの反射光」 では、事務所ビルの屋上に設置した太陽光発電パネルから、南東側に位置する周辺建物の西面への反射光照射が確認されました。


反射光照射状況(8月21日、15:00)

※クリックすると表を拡大できます。

太陽光発電パネルの設置条件探索で設定したパラメータは次のとおりです。

傾斜角度 :0~40度、1度刻みとした(41パターン)
東西方向の回転角度 :-45~0~45度、1度刻み(91パターン)
(中心軸は、傾斜させたパネルの東西端の辺とした。)
設置範囲 :北西端を基点として、東西方向は1~8列、南北方向は1~4列の間で可変とした(32パターン)

すべての組み合わせを検討する場合(全探索)、41☓91☓32=119,392ケースの解析が必要となり、非現実的です。そこで、今回は遺伝的アルゴリズムを用いて探索を行いました。
評価は、

  • ・南東側に位置する周辺建物への反射光照射が見られない
  • ・設置方位角が真南に近く、設置傾斜角が20度に近い(発電効率を考慮した)
  • ・設置範囲が広・

ほど、高い評価となるようにしました。

探索の結果、最も評価が高くなった設置条件のパネル配置は次のようになりました。


評価が最も高くなった設置条件のパネル配置

なお、遺伝的アルゴリズムによって生成されたケース数は約500で、全探索した場合の約0.4%のケース数で上記の設置条件を求めることができました。

この結果をふまえて、太陽光発電パネルの配置を再配置し、反射光の照射状況を確認しました。


反射光照射状況(8月21日、15:00)

探索で求めた設置条件をもとにした太陽光発電パネルの配置で、南東側建物に対する反射光の照射が見られなくなりました。
最適化手法の適用方法を工夫することで、様々な検討において有用な情報を得られる可能性があります。