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照明負荷と空調負荷の連成計算

建物の省エネルギー手法として、自然光を活用して照明のエネルギー消費(照明負荷)を減らす方法があります。照明負荷が変化すると、空調の消費エネルギーにも影響を与えるため、照明負荷と空調負荷を同時に検討すると、省エネルギー効果をより詳細に検討できます。

検討例として、事務所ビルの南側開口部を取り上げ、ガラス種類の違いおよび照明の調光制御の有無による照明負荷と空調負荷の年間負荷合計を検討しました。

検討ケースは、以下の3ケースです。

  1. 透明単板ガラス(FL6)の調光制御なし
  2. Low-E複層ガラス(Low-E6+A6+FL6:高遮熱断熱タイプ)の調光制御なし
  3. Low-E複層ガラス(Low-E6+A6+FL6:高遮熱断熱タイプ)の調光制御あり

調光制御なしは、就業時間の間は照明を点灯したままとします。
調光制御ありは、窓から2mまでと2m~5mの2領域について、それぞれの領域の平均照度が自然光で500lxに満たない場合、照明を点灯する制御を行うものとします(5mより奥は常時点灯)。

年間の空調・照明負荷検討結果を下記に示します。ここでは、透明単板ガラス(FL6)の照明負荷・空調負荷合計を100%としています。

Low-E複層ガラスの調光制御なしは、空調負荷はLow-E複層が高遮熱断熱タイプのため、冷房負荷が約9%減少、暖房負荷が約3%増加し、合計5.8%の削減となりました。Low-E複層ガラスの調光制御ありは、照明負荷が調光制御無しと比べて約22%減少しました。
空調負荷は、FL6調光制御なしと比べて、Low-E複層の遮熱効果と調光による照明発熱減少により、冷房負荷が12%減少、暖房負荷が約4%増加し、合計で約8%の削減となりました。
つまり、Low-E複層ガラスの調光制御ありは、FL6調光制御なしと比べて、空調・照明負荷の合計で、約30%の削減となりました。

室内の明るさをみて、明るすぎれば照明をオフにすることで、照明発熱が減り、室内の冷房負荷は小さくなります。
空調負荷・照明負荷を連成して計算することで、このような詳細な省エネルギーの検討ができます。