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気象データの違いによる風環境評価結果の比較

通年を通して、風が強い地域もあれば弱い地域もあります。この風の傾向は、その地域の気象データを見れば明らかです。ここでは計画建物および周辺建物をブロック形状で再現し、気象データの違いで風環境評価ランクがどの程度変わるかを比較した例をご紹介します。

ここでは下図の建物モデル(計画建物はピンク色)に対し、東京と新木場の気象データを使用し、風環境評価結果を比較してみました。


建物モデル(解析用メッシュ)


東京 風向発生頻度と平均風速


新木場 風向発生頻度と平均風速

※平均風速は、高さ1.5mでの換算風速です。


風環境評価結果(東京)


風環境評価結果(新木場)

上図に風環境評価結果を示します。計画建物と周辺建物が同じモデルでも、両者を比べると風環境評価ランクは、1ランクから2ランクの違いがでている箇所が多く、建物の南西角近傍では3ランク(ランク1→ランク4)もアップしていることが分かります。

理由として、新木場は、東京と比べて地上1.5m高さで約2m/s風速が速くなっていること、さらに、新木場は南東(SE)方向からの風の発生頻度が多いため、南東(SE)からの風が計画建物に当たった際、計画建物南西(SW)側で生ずる剥離流の影響が東京の場合よりも大きくでることが考えられます。

このように、風環境評価の結果を正しく求めるには、計画地近隣の適切な気象データ(風速、風向)を利用することが重要となります。