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形態係数の計算精度

■ 形態係数について

温熱解析では、放射計算の精度が解析結果の精度にも影響を及ぼすことがあります。
放射計算で必要不可欠なパラメータの一つが「形態係数」です。
これは、ある表面要素から見た他の表面要素との位置関係を表す数値です。

■ 放射計算と形態係数

放射計算を行う際は全表面要素間で形態係数の計算を行います。
精度の高い形態係数を使用することにより高精度な放射計算の結果が得られます。
ここでは、形態係数の計算精度と放射計算結果について検討した例を取り上げます。


対象建物のメッシュ図(上)とモデル(下)


形態係数の精度


【15時における室内床の表面温度分布図】

ここでは、同じ対象建物について、形態係数の精度が低いケースと、高いケース(通常、このケースと同様の高い精度で計算を行います)で、それぞれ日射が建物に当たったときの計算を行い、床表面温度分布から、精度の違いによる温度分布の違いを検討しました。

対象建物の形状は扇形で、モデル図で示すように、ガラスで囲われています。日射はこのガラス部分を透過して室内に入ってくることになります。

放射計算を行う際の形態係数の精度について、上のグラフに示します。これは、横軸に各要素、縦軸にその要素から見たときの他の要素の形態係数の総和を示していて、これが1に近いほど精度が高いことを示します。

左の表面温度分布図でわかるように、形態係数の精度が低いと、温度分布にムラができるのに対し、精度が高いと、温度分布はスムーズできれいな分布となることがわかります。形態係数の精度の差は明確です。